鮎

あゆ

鮎は日本で古来から愛されてきた魚であり、夏を告げる旬の魚で、柳の葉のようなスリムな体をしており、鮎の身からはスイカの匂いが漂うために「香魚」と呼ばれることもあります。神功皇后が鮎釣りを楽しんだり、釣りで占いをした、という故事もあります。また古くは「年魚」と書き、寿命が一年で終わるためだと言われています。上品な香りと繊細な味わいや内蔵のほろ苦さが日本人に好まれ、愛され続けている魚です。

鮎は魚偏に占うと書きます。諸説あるようですが、神武天皇が高倉山で敵に包囲されたとき、「酒を入れた瓶を丹生川に沈め、魚が浮いてくれば大和国を治めることができる」という占いに従われたそうです。すると本当に魚が浮かび、その魚がアユであったとか。

神功皇后が朝鮮出兵の際、神に祈念しながら川に糸を垂れたところ、鮎が釣れ、皇后は無事に航海できた。などなど、鮎という魚には縁起の良い逸話が残されています。 

琵琶湖産鮎

琵琶湖に棲息する「小鮎」は、世界で唯一琵琶湖だけに棲息する特別な鮎です。
平成19年には『琵琶湖産鮎』として、淡水魚では全国でも初めて地域団体商標登録を受けました。

小鮎を鮎の稚魚のことだと思っている人が多いかもしれません。琵琶湖は淡水の海(淡海)ですから川を遡上し大きく成長する鮎もいますが、遡上せずに一生を湖ですごす鮎は成魚でも10センチ以下と大きくなりません。
この鮎が「小鮎」です。小鮎は日本列島各地の鮎とは異なり、琵琶湖にだけ棲息する鮎だからこそ特別なのです。
春先から初夏にかけて、湖の小鮎漁は最盛期をむかえます。
琵琶湖には、小糸(こいと)漁・追い叉手(さで)漁・沖すくい網漁・えり漁など十数種の独特の漁法があります。
なかでも「小糸漁」で捕れた小鮎は、煮炊きしたときにふっくら柔らかだと伝わります。

稚鮎

小鮎の仔魚のこと。
琵琶湖では鮎の幼魚を氷のように体が透きとおっていることから「氷魚(ひうお)」と呼びます。「ひお」、「ひのいお」、「こおりのいお」の呼び名も伝わります。大きさ2〜3センチの繊細で美しいガラス細工のような魚です。氷魚が獲れるのは12月〜3月頃で5月頃には小鮎と呼ばれるようになります。

近江を愛した芭蕉は「霰せば網代の氷魚を煮て出さん」と詠みました。湖の鮎と暮らす私たちは、空から落ちてくる霰(氷の粒)が湖面に落ち、カタチを変えて氷魚になるような幻想的なイメージを想い浮かべます。
「あゆの店きむら」は、12月~3月頃は「粒山椒入稚あゆ煮」と「氷魚の釜揚げ(不定期)」をお届けしております。木の芽の香りがアクセントの稚あゆ煮、釜あげにした氷魚のしっとりとた繊細な味わい、どちらも琵琶湖畔でしか味わえない冬の味覚として愛されています。


鮎養殖の文化

明治42年(1909)石川千代松博士が、琵琶湖の小鮎にエサを与えて育てると大きくなる事を実証したことが、鮎養殖のはじまりとされています。

琵琶湖の鮎は「小鮎」と呼ばれ、一般的に大きくなりません。このため当時は河川の鮎と琵琶湖の鮎とは別物と考えられていました。これに対し博士は珪藻や藍藻などの鮎の餌が少ないのではと考え、大正2年に琵琶湖の鮎を東京の多摩川へ放流し秋にはりっぱに育ちました。琵琶湖の「小鮎」でもエサを与えることができれば大きくなることがわかり、その後の放流事業また地中養殖事業発展の基となりました。

また海産稚鮎については、昭和4年(1929)に神奈川県の海産稚鮎を用いて、農林水産試験場の中野宗治技師が池中養殖に成功いたしました。続いて、各地の水産試験場が、琵琶湖産稚鮎および海産稚鮎を用いた養殖の試験を行い、今日に至る養殖の礎を築かれていきました。

時は流れ、1960年代に養殖業の経営体が徐々に増え始め、1970~1990年代にかけ飛躍的に増加。淡水魚の主要養殖魚の中では後発魚種であったが、高度経済成長期の需要増の波に乗り、急激に生産量が伸びていきました。この頃になると、養殖池もコンクリートで整備し、用水も伏流水が多く使われ、ポンプなどで池の中でも川のように流れを作り出すことが出来るようになる。それに伴い生産量も着実に増え、内水面における大きな産業にまで成長いたしました。

その後、食の多様化また魚食文化離れなどもあり一時よりは大きく生産量が減ったとはいえ、河川文化を伝える旬の魚として和食だけでなく洋食、中華またバーベキューなどの食材として多岐にわたり国内だけでなく海外でも使われています。今日では、全国で琵琶湖産稚鮎、海産稚鮎、人工産稚鮎を中心に養殖が行われ、安心・安全で美味しい鮎を食卓にお届けするために日々精進し奮闘しております。

高品質でおいしい鮎を育てるこだわり

琵琶湖産鮎

琵琶湖産鮎は、平成19年に地域団体商標に登録されました。人工的に孵化させて育てた鮎と比較しての一般的特長として、①姿・形が美しいこと、②ウロコが細かくなめらかであること、③骨や皮がやわらかいので食感に優れていること、があげられています。
この琵琶湖産鮎を養殖用の種苗として使用しているので、同じ特長をもった鮎が育つことになります。


ミネラル豊富な伏流水仕込み

農産物にとって土壌の質が大切なように、養殖にとっての水質はその後の成育を左右する重要な要素です。当店では、地下300mより湧き出る天然水をくみ上げて使っています。
これは日本名水百選「十王の水」を含む鈴鹿山系の伏流水からのミネラル豊富な良水です。さらなる工夫として、この水を比較的低温に保っていることもあげられます。一般的には4~5か月のところを5~6か月かけてじっくりと育てることで、より天然の味わいに近づけています。


養殖池

水へのこだわりに加えて養殖池の環境にも配慮してきました。河川上流部と同じ速さの流れを養殖池に再現させたのです。その結果、無駄な脂が落ち、身が引き締まった、上品で淡泊な味わいの鮎が育つようになりました。
検査機関の分析データでも、当店の鮎は一般的な養殖鮎に比べて脂肪分が半分という数字が出ています。この脂肪分の低さは、天然鮎に近い数値とのことです。

木村水産の鮎は成分分析において高く評価されています

外部分析機関※によると当社の鮎は、「旨味が強く、臭みが少なく、やわらかく、コクが強い鮎」であると評価されています。
当社の鮎は天然の鮎よりもグルタミン酸含有量が高い。それは養殖の際に与えられる餌の栄養価が高いこと、特に藻類を中心に飼料を施与しており、これらのラン藻類、ケイ藻類由来のグルタミン酸が鮎の体内に吸収、蓄積されたものと思われます。同じく旨味成分のイノシン酸についても、当社の鮎は天然鮎と同程度です。イノシン酸は運動量が多いと含有量が増えるため、当社では伏流水をかけ流し、天然の河川のような水流や環境が整っているため、天然の鮎と同程度の運動量であると推察されます。また、臭気成分の強度が天然を含める他社の鮎と比較して著しく低い。これは飼料の配合と独自技術による施与、豊富な伏流水をかけ流して水環境が整っている養殖池の中で、飼料の滞留が極小化できていることに起因していると考えられます。鮎の身は、他社の鮎と比較してやわらかい。当社では、「鱗が細かくてなめらかで、骨や皮がやわらかく、食感に優れている」という「琵琶湖鮎」を種苗としていることでその特徴を遺憾なく発揮しています。

※成分分析ブランディング dot science 株式会社

当社の鮎は、国産の天然鮎、他社養殖の鮎と比較して、グルタミン酸含有量が1.28~2.51倍、イノシン酸含有量が0.98~1.23倍、臭気成分が0.23~0.55倍、破断硬度が0.56~0.80倍、有機酸量が1.09~1.69倍であり、旨味が強く、臭みが少なく、やわらかい肉質とコクが味わえる鮎であることが明らかとなった。

あゆの塩焼き

自社の養殖池で琵琶湖産の天然の稚鮎をミネラル豊富な鈴鹿山系の伏流水で大切に育てています。鮎独特の香りを備えた天然にも負けない味で、無駄な油が落ち、身が締まっています。池から揚げた鮎を素早く氷で〆め、踊り串を打ち、天日塩で化粧塩してから、口を下にしてじっくりと焼き上げました。余分な脂が鮎の体内に残ることなく、芯まで香ばしく仕上がっています。
その独特の香りから”香魚”と呼ばれる鮎。きめ細かな皮はパリッとして香ばしく、そして身はやわらか。クセがなく淡白にして高尚な味わいでほどよいコクがあり、まさに川魚最高のものといわれています。

子持ちあゆ

琵琶湖産の鮎の産卵期は、同緯度地域の海産鮎と比べると1カ月ほど早く、9月上旬から始まります。
秋、お腹に卵をびっしり抱えた雌の鮎は、「子持ち鮎」と呼ばれ、夏の鮎とはまた違った味わいで珍重されています。

小あゆ煮

朝一番に小糸漁で捕れた鮮度抜群の小鮎を、熟練した職人が小さな釜を用いて直火で少しずつ、数時間つきっきりで炊きあげます。仕あがりはふっくら柔らかでまろやかな味わいです。

「小鮎(コアユ)」は琵琶湖の鮎のことをいいます。小鮎を鮎の稚魚のことだと思っている人が多いかもしれません。琵琶湖は淡水の海(淡海)ですから川を遡上し大きく成長する鮎もいますが、遡上せずに一生を湖ですごす鮎は成魚でも10センチ以下と大きくなりません。この鮎が「小鮎」です。小鮎は日本列島各地の鮎とは異なり、琵琶湖にだけ棲息する鮎だからこそ特別なのです。

春先から初夏にかけて、湖の小鮎漁は最盛期をむかえます。琵琶湖には、小糸(こいと)漁・追い叉手(さで)漁・沖すくい網漁・えり漁など十数種の独特の漁法があります。なかでも「小糸漁」で捕れた小鮎は、煮炊きしたときにふっくら柔らかだと伝わります。

あゆの姿煮

ふっくら、やわらか。自然の麗姿もそのままに、日持ちよりも美味しさに心を込めてとろ火でじっくりと炊きあげております。お箸で簡単にほぐれるほど柔らかく、頭から尾まで余すことなく召し上がっていただけます。子持ちあゆの姿煮は、滋味豊かな完熟の子持ち鮎をコトコト煮上げた古来伝承の味の逸品です。
当社の甘露煮などの加工は「少量手づくり」を基本に丹念に仕上げています。地醤油と地酒をたっぷり用いた煮汁は、追い汁せず毎回新たに調合しています。手間と暇をかけないといい味は出せません。

冷凍あゆ

 

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